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『産後うつ』が甘えなら『老人性うつ』も甘え?

老人介護をしながらでも楽しく暮らす方法
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はじめに【 “『産後うつ』は甘え ” 発言について!】

《もし奥様が「産後うつ」を言い訳にして家事や育児を怠ったら怒鳴りつけて躾けましょう。私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。「産後うつ」は「甘え」です》
 先日、とある国会議員が、Twitterでこんなツイートを投稿し、批判を浴びていました。

 続けて、《「産後うつ」なる病気は地球上に存在しません。誰かが勝手にあると思い込んでいるだけ》《これからなる世界は、甘ったれた精神ではならんのです》

 さらに、《「産後うつ」などと甘えたこといっているから男女平等は実現せず、性差別が横行することにまだ気付けないのでしょうか》と、発信しています。

 そもそも、女性の地位向上意識を『産後うつ』と結び付けて発言している時点で国会議員としての資質が問われると思うのですが、いかんせん、成功者と呼ばれる人は、弱者の気持ちが分からないものです。

 わたし自身もかつて、精神の不調を覚えたことがあります
そして現在、介護をしている父親が『老人性うつ』かも?と、思えるような状態に陥っています。

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『産後うつ』が甘えなら『老人性うつ』も甘え?

【実体験エピソード】

 これまでも何度か父親の “ 認知症・記憶障害・睡眠障害 ” について触れて来た。
騙し騙しして、神経内科の診療を受けさせようとしたこともある。

 けれど、どうしてだろう。総合病院に行くと、「人をボケ老人だと馬鹿にするのか!」と、怒りを露わにし、診療を拒絶するのだ。このときは、誰から見ても正気でまともな老人の姿なのである。

 「おい、もう晩御飯の時間だから起きろ!」
父親について、布団の中で過ごす時間が長くなったことは以前にも話した。
それでも、夕方になれば、たとえ布団の上で寝転んでいたとしても、必ず目は覚ましていた。

 相撲中継を見るのが数少ない楽しみのひとつだからだ。
なのに、この日は起きようともしなかった。そればかりではなく、「おい、相撲見ないのか?」と、わたしがテレビのリモコンのスイッチを押して、相撲中継にチャンネルを合わせても無反応なのである。



 (まあ、そのうち起きて見るだろう)
そう軽く考えたわたしは、そのままにして夕食の準備を始めた。
ところが三十分後、父親の寝室に食事を運んだとき、テレビは消されていた。

 ちょうど時間的にも、三役が取り組みを行う、実況も大盛り上がりのときだ。
 「おい、どうした。○○関の取り組みが始まるぞ」
 「……………」。
 「飯の準備もできたから早く起きて!」
 「……………」。

 (もしや、体調でも崩したのかも)と思ったわたしは、かけてあった布団をはいで、父親の耳元で「具合でも悪いのか?」と訊ねた。そのときの反応がこうである。

 「うるさい。お前の声も、テレビの音も……」
(かなり、耳が遠くなってきている筈なのに、一体どうなってしまったのか)

 「晩飯食わないのか?」
 「あとで食う。そのまま置いとけ」
ボソボソとした小声であるが、わたしの問い掛けにも、しっかりとした反応を見せた。
結局その日は、(まあ、誰にだって気分の優れない日もあるさ)と考え、わたしも父親の好きなようにさせた。

 それから度々、まるで廃人と化した父親の姿を見るようになった。
幸か不幸か、わたしも心を病んでいた過去があり、(これはうつの症状かも?)と、ピンときたのだ。このことを、かかりつけの医師に相談をして、総合病院の神経内科を紹介してもらった。



 そして、冒頭部分で話した「人をボケ老人だと馬鹿にするのか!」発言に繋がる。
こんなことも口走った。「精神病じゃない!」とか、「狂ってない!」とか。
父親にとって神経内科とは、イコールで精神病患者、行きつく先は “ 窓に檻のついた部屋で監禁される ” のだそうだ。

 何度も「今は違うから」と、説明したのだが、全然理解してくれない。
それにしても、病院という場所柄も考えず、こんな調子で(わめ)き散らされたほうは、(たま)ったものではない。まるでわたしが、老人を虐めているかのように人々の目には映る筈だ。

 至って正常、まともな日もある。
記憶障害からくるトンデモ発言はするものの、散歩に行ったり、知り合いに電話をかけたりしている。間違い電話はかなり多くなってきているが・・・。

 けれども、気分の落ち込んだ日は、到底わたしの手に負えない。
放っておくのがわたしにとって精神衛生上、一番良いのだろうが、やはり不安なのだ。
仕事中でも常に父親のことが頭から離れない。

 (なんとか、医者に診てもらい、薬を処方してもらいたい)
いつも、そんなことばかり、考えるようになっていった。気鬱の酷い状態のとき一度だけだが、こんな言葉を口にしたからだ。

 「早く死にたい……」。

 この言葉をはっした張本人は次の日けろりとして、「リハビリに行く」と告げ、日常生活に戻っていくのだが、受け止めた人間のほうの気持ちは、言葉でどう説明をしょうとしても、上手く言い表す自信がない。

 とにかく、不安に押し潰されそうになる。
もしも「死にたい」といった衝動に駆られたらどうなるのか?
とりあえず、刃物類やロープなど、自殺に繋がりそうな物は全て隠した。

 そして以前に、 老いると子供に戻るのは本当か?(前編)【不法侵入の疑い】 でも登場した、近所の昔は米屋さんを営んでいた家のおばさんに「たまに様子を見に行ってくれませんか」と、季節の果物を持って、頼み込んできた。

 米屋のおばさんは、「そんなに神経質にならなくても大丈夫よ。お父さんのことは良く知らないけど、殺しても死なないような顔してるじゃない。渋柿の長持ちってやつね。あはははぁ、でも、分かったわ。そっちのほう行くとき顔出すようにするわ。」

 近所付き合いもなく、それどころか住人たちから煙たがれているのは薄々気付いていたが、正面を切って、それらしいことを言われるのは初めてである。ざっくばらんな性格なのだろう。まあ、わたしとしても、そのほうが楽である。

 そんなこんなで、周りの人間の手を借りながら、医師に診せる算段を考えていたのだが、これといった妙案は浮かんでこなかった。米屋のおばさんは、そんなわたしに何気なく、「失恋でもしたんじゃないの?あはは、それなら笑えるわね」と、言った。

 (失恋?そう言えば、最近A子さんとはどうなっているのだろう)
A子さんとは、前に父親が求婚していたと思われる、おばあさんのことだ。

 そのときの物語は、 高齢者コミュニティーでの人間模様(前編)【引きこもり】 ~(後編)【ジェラシー!】に書かれている。

 わたしは一先ず、A子さんに連絡を取ってみることにした。
電話で聞いたところだと、「特段変わった点はない」とのことだ。
つまりは、付かず離れずで、父親側の視点に立って言うと(上手くはぐらかされている)ということか。



 そこでわたしは、A子さんに事情を説明して、「父親が病院に行くよう何とか説得してくれないか」といったことをお願いした。A子さんは「わたしが言ってもね……」と、自信は無さげだったが、結果「とりあえず話してみる」と、承知をしてくれた。

 翌日の夜、父親に気うつの症状が見られないのを確認して、A子さんに来てもらった。
わたしは、席を外したのだが、いかんせん耳が遠いせいか、二人の声は大きい。筒抜けである。

 そんな筒抜けの会話のなかで、父親の声のトーンが急に落ちた。
それに合わせて、A子さんの声も小さくなる。だからと言って全く聞こえない訳でもない。
耳をそばだてていると、父親が媚びたような声でこう言った。

 「A子が一緒に着いて来てくれたら……行く」。

 数日後、父親が本当にA子さんの付き添いで病院に行くことになるとは、思いもよらなかった。A子さんも高齢である。詳しい診断内容を説明しようにも「良く分からない」とのことだ。ともかく『抗うつ薬』を処方されたのだから、推して知るべしである。

 今現在、たまに浮き沈みはあるものの、症状は落ち着いている。
A子さんには感謝をしている。そんなA子さんの優しさを履き違えて、またもや父親が求婚をせがんだりしないか、それだけが気掛かりであるが。


おわり

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『老人性うつ』について

老人性うつとは?

 65歳以上の高齢者がかかるうつ病のことを『老人性うつ』と呼びます。
主な症状として、注意力が散漫になったり、よくうつ感が強く、「死にたい」と思うなど、悲観的になります。

※ 抑うつとは、気分が落ち込んで活動を嫌っている状況であり、そのため思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状態です。

 他にも症状としては、体の不調、妄想、不安、緊張、意欲の低下、思考力の低下などが挙げられます。比較的、認知症と症状が似ているため、周囲も本人も知らない間に悪化してしまうことがあります。

老人性うつと認知症の違い

 『認知症』は比較的、症状が徐々に進行していくのに対し、『老人性うつ』の場合は、短期間で多くの症状があらわれます。また、本人に症状の自覚があることも特徴です

 しかし、老人性うつの症状の中には、認知症の症状に似たものがあることや、老人性うつと認知症を同時に発症していることも少なくないため、素人が判断することは難しいと言えます。

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あとがき【『老人性うつ』にどう向き合うか!】

 結局、父親の『老人性うつ』はA子さんといった存在に甘えることで、治ったとは言えなくても、最悪の事態は免れることができました。

 人はときに “ 甘えることが必要 ” なのだと思います。
『産後うつ』についてもそれは同様で、周りの誰かの支えが大切です。
それを、バッサリと「甘え!」の一言で切り捨てられる、こころの強い人には理解できないでしょうが。

 とにかく、どんな『うつ病』にしろ、かかりつけ医や精神科・心療内科等の医師に相談し、診断を受けることが大事です。そして、ひとりで抱え込まず誰かに甘えてみましょう。

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