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高齢者の薬事情!(前編)【介護中のお薬ハプニング集】

老人介護をしながらでも楽しく暮らす方法
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はじめに【高齢者の物忘れは当たり前!】

 高齢者の面倒をみているかたの中には、薬について(飲ませ方等)色々とお悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。わたしも父親には随分と悩まされたものです。ときには涙したこともあります。

 歳をとっていくとどうしても物忘れが酷くなっていきます。それは認知症の人だけに限った話ではありません。 “ 薬を飲んだのか飲まなかったのか ” こんなことも分からなくなってしまいます。

 わたしの父親は軽い認知症です。ですから、飲む飲まない以前に “ 誰の薬なのか? ” なんて時々言い出す始末です。そんな父親のエピソードを、ひとつふたつ紹介したいと思います。

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高齢者の薬事情!(前編)【介護中のお薬ハプニング集】

エピソード1『破られた袋』

 最初に、父親の処方箋は、降圧剤、抗うつ薬、便秘の薬など数種類であり、他にも体調を観ながら、整腸剤や神経痛の薬も服用していることを記しておく。

 ひとつめのエピソードは、わたしが介護を始めてまもなく、まだ介護について右も左も分からぬといった状態のときに起きた。

 その日、家の中はやけに静かだった。普段の父親は昼寝をするときも、テレビをつけっぱなしだ。いつだったか、わたしがそおっと父親の寝室に入り、テレビを消したことがあった。それまで寝息を立てていたくせに、消した瞬間に跳ね起きて「見てるから消すな!」と、怒鳴られたことがある。

 そんな出来事があってから、外出時と深夜以外はまるでバックグラウンド音楽のように、テレビの音声が流れているのだ。父親の耳が遠いということもあって、それはそれは大音量で・・・。

 なのに、その日は無音である。一瞬、外出でもしているのかと思ったが靴はある。人の気配も感じる。(まさか倒れているのか)そう思ったわたしは、慌てて父親の部屋に駆け込んでいった。

 部屋の戸を勢いよく開いて、「おい、大丈夫か!」と叫んだわたしを、父親はキョトンと、珍しい生き物でも見るかのような眼差しでジッと見つめている。それも至って普通の様子だ。

 わたしはほっと胸を撫で下ろした。「なんだ、倒れてるかと思った……」。と、言いかけたとき父親の座る敷布団の上に100個以上の錠剤が転がっていたのを発見した。父親の右手にはハサミが握られている。



 「おい、なにやってるんだ!」そう言うわたしに父親は悪びれる風もなく、「一回ごとに空けるの面倒だろ」と言い返し、作業を続けようした。わたしは父親からハサミを奪った。「なにするんだ!」えらい剣幕である。

 「おい、だったら朝にどれとどれを飲むか手に取って見ろよ」
 「そんなの簡単だ!これとこれと、えぇ~と……白いやつ、大きいのと小さいのがあるなあ……」
 「ほら見ろ!」

 この日、錠剤を袋に入れ直し、テープで閉じるといった作業が増えたことは言うまでもないだろうが、思い出しても腹が立つから一応書いておく。

エピソード2『探し物の代わりに見つけたものは』

 「薬は飲んだのか?」―――これは二年くらい前のわたしの口癖である。考えてみると、挨拶代わりのように、この言葉を口にしていたような気がする。どうしてそうなったかと言うと、父親が大の薬嫌いだからだ。

 体調が優れないときは大人しく飲んでいるのだが、少しでも体調が良いと飲まなくなる。それでまた血圧が上がったりして寝込むのだから困ったものである。だから、わたしが付いているときは必ず飲み終わるまで監視している。

 それがよほど鬱陶しいのだろう、わたしの顔を睨めながら、しかめっ面をして喉に薬を流し込んだ。だからと言って常に監視できるはずなどない。昼食時やわたしがどうしても不在のときは自主性に任せるしかなかった。

 そして顔を合わせたとき、わたしの第一声が例の「薬は飲んだのか?」で、ある。わたしがそう言うと父親は決まって「飲んだ、うるせえ!」と言い返す。薬の袋も切られてあるし、ずっとわたしは素直に薬を飲んでいるものと思い込んでいた。

 ある日、父親が突如血相を変えて、わたしに詰め寄ってきたことがあった。
 「時計、どこやった!」
 「腕にしているだろ」
 「これじゃなくて、あの時計だ!」

 以前、父親に収集癖があることを、これは認知症の症状?【ゴミ屋敷化をめぐる攻防劇】に書いた。どこからか拾ってきた、とてもじゃないが動きそうもない壊れた置時計のことを指しているらしい。

 「お前捨てただろ!」
 「粗大ごみの日はまだだから捨てていないよ」
 「正直に言え!」



 一度疑ったら疑い続けるという、父親の執拗な性格を知っているわたしは、翌日の朝に捨てようと思っていた普通ごみの袋を、父親の目の前で開けて見せた。「ほら、これは生ごみだし、燃えるものしか入ってないだろ……。あれ、この袋はなんだ?」

 スーパーで貰える総菜なんかを詰めるための半透明なビニール袋のことだ。
その袋のなかから―――30錠くらいあろうか、薬が透けて見えていた。

 「おい、これはなんだ!」
 そう言いながら振り返ったわたしに父親は、「あっ、それも探していた」と、いかにも分かりやすい嘘をしゃーしゃーとついて、「良かった、良かった」と、まるで探し物の置時計でも見つけたかのように、ご機嫌な表情を無理矢理作って、寝室へと消えて行った。

 「おい!」「薬捨てやがって!」そう何度わたしが叫んでも、父親は聞こえないフリをして布団を頭まで被っていた。そうやって雷雲かみなりぐもが過ぎくのを待つつもりなのだろう。

高齢者の薬事情!(後半)【介護中のお薬ハプニング集②】エピソード3に続く。

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