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高齢者の薬事情!(後半)【介護中のお薬ハプニング集②】

老人介護をしながらでも楽しく暮らす方法
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高齢者の薬事情!(後半)【介護中のお薬ハプニング集②】

 高齢者の薬事情!(前編)【介護中のお薬ハプニング集】のつづき。

エピソード3『クレーマー老人』

 「この薬全然効かなねぇ」薬を飲ませる度に父親はこうぼそりと漏らす。
そして必ず「○○薬局の薬のほうが効く」という言葉を付け加える。○○薬局とは近所にある市販薬だけを扱っている小さな商店のことだ。

 (よわい)七十の、昔は看板娘と言われていたであろう、小柄なお婆さんがひとりで切り盛りしている店だ。わたしも何度か客として虫刺されの薬などを買ったことがあるのだが、とても丁寧で愛想の良いお婆さんである。

 これはあくまでわたしの憶測に過ぎないが、このお婆さんのことを父親は気に入っているらしい。なぜなら、例えば急に何らかの薬が入用(いりよう)になったとしよう。そんなときは「散歩に行くからついでに買ってくる」と、言い出すのだ。食品とか家庭雑貨のときは知らんぷりを決め込むくせに。

 それが理由なのか定かでは無いが、父親は病院の出す処方箋を酷く嫌った。
 「お医者さんが親父に合わせて調合させた薬なんだから大人しく飲めよ」。わたしがそう言っても「ふんっ」と鼻で笑ったあとに「あれは藪医者だ」と言い出す始末だ。

 ともかく、前回も話したが、大の薬嫌いである父親は、薬を飲まないようにと、なにかと難癖をつけるのがお決まりだ。毎度毎度、赤子のように駄々をこねるものだから、ついついわたしもカァーッと頭に血がのぼり「だったら直接医者に言えよ!」と、言ってしまう。

 父親は父親で、「おうっ、今度あの藪医者にガツンと言ってやる!」と、えらく威勢がいい。まあ、そのときはわたしも(どうせ言えるわけがない)と思い、このことを忘れていたのだが、診察の日、「今日は藪医者に文句を言う日だ!」なんて、決意表明をするものだから、少し焦ってしまった。



―――とうとう医者との対面の場である。
父親の顔はいつもよりも強張っていた。わたしは内心(言うなら言って𠮟られるのも幸い)と静観していた。

 医者が父親に「○○さん、調子はどうですか?」と声をかけた。
(さて見物(みもの)だ。どう出るのか親父。早く言え、早く言え)そうわたしが心の中で唱えていたら、父親は医者にこう返した。

 「先生のお陰様で良いです」。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのようなときに使う言葉らしい。

 「きちんと息子さんの言うことを聞くんですよ」と、説教じみた言葉をかけられても「ふぁい!」なんて、いかにも優等生のような元気のいい返事をしている。わたしもこうなることを予想はしていた。しかし、その態度の急変ぶりにはびっくりしたものだ。

 まるで吉本新喜劇の小芝居である。
病院の外に一歩出ると同時に「ふんっ、偉そうに!」と捨て台詞を吐くのだから。

エピソード4『ドラック中毒?』

 高齢になってくると、痴呆症とまでは言わないが、軽い記憶障害は良く起こりうるものだ。
物を失くすことも日常茶飯事になる。言うなれば生理現象のひとつだと思ったほうがいい。けれども、以前のわたしは、そんな些細なことまでいちいち腹を立てていた。

 何かを無くす度に矛先がわたしに向けられるからである。家の中でのことなら許す。我慢するとしよう。しかし、外出先で物を無くしたときも「おまえが隠しただろ」なんて言うものだから、こちらも堪忍袋の緒が切れてしまう。

 一年くらい前にもこんなことがあった。
いつも通り、わたしが「薬は飲んだのか?」と訊ねると「くすり?」と、あたかも薬という単語自体を忘れたかのような意外な反応が返ってきたのである。

 「く・す・り!」と、もう一度念押しをしてみると、うんうんと頷いて、一応心得たような素振りを見せてから、首を傾げて考え込んでいる。どうも様子がおかしい。「く・す・り・は・の・ん・だ?」再度訊ねてみた。

 「のんらかなあ」―――()(れつ)が回っていない。
口は半空き状態で、口角(こうかく)から一筋の(よだれ)がたら~と流れていた。言葉は悪いがイメージするボケ老人そのものの姿、もしくはドラック中毒者のようである。



 ドラック中毒?―――嫌な予感が過る。
薬の保管箱を開けてみた。父親が間違えないように、朝・昼・晩と、薬は仕分けしてある。

 残りの数を調べてみた。
(朝に飲むやつは残り11日分、えぇーと昼のやつは残り14袋、晩のやつは残り……あれ?)
晩に飲む薬が残っていないのだ。三日くらい前に確認したときは10日分以上残されていた筈だった。

 つまり、晩に飲まなければならない薬を、朝昼晩と続けて飲んでいたのだ。
晩に飲む薬の量は多い。特に抗うつ薬は晩にだけ処方されている。この一件は完全にわたしが悪い。仕分けをして間違わないようにマジックで印を付けただけで安心していたのだ。

 その日は一日中布団に寝かせて何とか事無きを得た。回復後、父親はこんな独り言を呟いていた。

 「酔ったみたいで気持ち良かった」

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あとがき【介護にもリスクマネジメントを!】

 高齢者になるとどうしても服用する薬が増えてきます。ちょっとした飲み間違い、または飲み合わせでも、それが体調の悪化に繋がったりします。薬とは恐ろしいものだと、わたし自身再認識しました。

 その後、医師に相談して、朝と晩の食後にだけ薬を飲ませることにしました。管理はわたしがして、その日の分だけしか与えないようにしています。介護にもリスクマネジメントが必要なのですね。

 わたしもそうですが、忙しくてそんなこと考える余裕すらない。と言う人も多いでしょう。そんな人は必ず誰かに相談して下さい。相談する相手がいないと言うのなら、行政の電話相談窓口を活用して下さい。辛い毎日ですが共に乗り越えましょうね。

 介護問題について思うこと【介護電話相談窓口】

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