はじめに【悩みはあって当たり前!】
『 悩みはあって当たり前。それは生きている証であり。常に反省している証拠でもある 』
これは、松下電器産業(現・パナソニック)の創業者、故・松下幸之助氏が残した言葉です。
若かりし頃のわたしは、このような言葉に心を動かされ、将来への希望にも満ち溢れた、ごく普通の青年でした。しかし、いつの頃からかは分かりませんが、心が動かなくなってしまったのです。
悩むことに慣れ過ぎてしまったのでしょうか?それとも、あくまで成功者の言葉だと、色眼鏡をかけて物事を見るようになってしまったからでしょうか?
松下幸之助(まつした‐こうのすけ)とは?
松下幸之助
松下幸之助は昭和の代表的な実業家です。(1894~1989)
和歌山県の農家の三男として生まれた松下幸之助は9歳で小学校を中退し、丁稚奉公のため大阪に出ます。明治43(1910)年、大阪電燈に入社しますが、大正6(1917)年、改良ソケットの製造販売を行うため独立します。
その翌年には、松下電気器具製作所(のちの松下電器産業、現パナソニック)を創業し、自転車用電池ランプ、電気アイロンを製造し、大成功を収めます。その後同社を超一流企業にまで成長させ、「経営の神様」と呼ばれました。享年96(満94歳没)
人はなぜ悩むのか?【脳内の断捨離のすすめ!】
悩みのメカニズム
では、唐突ですが「なぜ悩みは生まれるのでしょう?」といった問いかけから本文に入りたいと思います。
それは、人間が本能的に抱くマイナスの感情 「恐怖」と「不安」に要因があると言われています。この二つの感情は似ているようですが、結論から言うと似て非なる感情です。
実際にわたしが体験したひとつの例を上げましょう。
かつて、わたしは一度、乗用車の運転中に大きな交通事故を起こしたことがあります。対向車線からはみ出して来たトラックを避けようとして起こした自損事故です。
その瞬間のわたしは、頭の中が真っ白になり、身体が硬直し、思うように身動きがとれなくなりました。当然、悩んでいる暇などもなく、咄嗟に大声で自分自身を鼓舞しながらハンドルを切ったものです。
ーーーこれが「恐怖」といった感情です。
ところが、自損事故で車を大破させた後には、(自分の怪我の状態はどうだろうか?対向車は無事だろうか?車のローンが残っているのに仮に保険金が下りなかったら・・・。
仕事も休まなければいけないだろう。一体全体、これから先の自分はどうなるのだろうか・・・。)といった「不安」に、感情は変化していきます。
このような、“ 結果の予測がつかない将来に対する、多面多岐にわたる「不安」 ” が悩みの原因となります。つまり、何が起こるか分からない未来は、全てが不安材料になるのです。
悩みの種は永遠に尽きることがなく、人間の心の中から悩みを根絶させるのは難しいと言えます。従って、松下幸之助氏の言葉は、悩みのメカニズム上、至極当然と言えるでしょう。
昨今の社会情勢、特に “ 流行り病 ” がもたらした影響は、日本社会全体に暗い影を落としています。加えて、マスコミ報道は連日連夜、不安を煽るかのように、言葉を踊らせています。
当然、益々わたし達の不安は大きくなり、悩みも深刻なものになっていきます。
悩みにくい人、悩みやすい人の特徴
あくまで一般論ですが、物事を “ 大難把 ” に捉え、太い幹だけで判断する人は総じて悩みにくく、悩みからも比較的早く抜け出すことができると言われています。
反対に“ 完璧主義 ” を求めたりするようなタイプの人には悩みも多く、その悩みを引きずりがちになるようです。
さらに付け加えると、考える時間の長い人ほど悩みやすいといった傾向があります。
「もしも失敗したら・・・。」といったことを、どうしても考えすぎてしまいます。
このように、頭の中で堂々巡りを返しているうちに余計なことまで考えて、悩みがさらに膨らんでいく、という悪循環に陥るタイプの人も少なくありません。
これ以外にも、「右か左か」あるいは「イエスかノーか」といったように、自分自身で選択の幅を狭くしてしまうタイプもあります。
そういう人は「他にいくらでもやり方はある」ということに気づかず、悩みの深みにはまり込んでしまうのです。
悩みを楽にするには?
健全な悩みを持ち、それに真正面から取り組んで、合理的な解決法を選び出すことは、人間的に成長していく上でも大切なことでしょう。
また、資本経済社会において、そういったタイプの人間が生き残って、いわゆる “ 勝ち組 ”と呼ばれているのが実情です。
しかし本稿では、わたしも含めた “ 自分の心の弱さを知っている ” 人々に向けて話しています。
総じてわたし達のような弱い人間は、神経質になりすぎたり、いつまでもくよくよと悩み続けたりして、心と体の健康に悪影響を及ぼしがちです。
では、深く悩みにはまり込まず、引きずらない人には、どのような特徴があるのかを参考にして考えて見ましょう。
一つは、自分はどんなことで、なぜ悩んでいるのかを分かっていることです。すなわち、悩みを冷静になってながめる、もう一人の第三者的な自分をつくっているのです。
このように、自分を客観的な立場に置くことで、悩みに理没してしまうことに歯止めをかけて、気持ちに多少ともゆとりを持たせられるのです。
ほかにも、悩みのエネルギーを体のエネルギーに変えるという人もいます。一番多いのはスポーツをして汗を流すことです。
それが無理でも人と話す時に大きなゼスチャーをしてみるとか、胸を張って元気よく歩く、あるいは少し派手な明るい洋服に着替えてみるなどして、心のモヤモヤを晴らしているのです。
参考に考えると言っても、わたし達のような “ 自分の心の弱さを知っている ” 人間が真似できることは限られてくるでしょう。
では、悩みを楽にする最適な手段とはなんでしょうか。
それは、悩み、そして不安要素を一度、頭の外に放り出してしまうといった方法です。
「案ずるよりも、産むがやすし」という言葉もあるように、近い将来のことであれば、悩んでいるより時間が解決してくれることもたくさんあるのではないでしょうか。
あとがき【悩みは「必ず何とかなる」と信じて!】
人間には、間違いもあれば、ミスもあります。くよくよ悩んだからといってそれが解決するわけではありません。それよりも、早め早めに対策を講じて、誠実な対応をしていけば、道は必ず開けてくるはずです。
「必ず何とかなる」ということを信じて、余計なことまで考えないようにしましょう。
そして決して、情報過多にならないように心掛けましょう。
つまり、自分で自分を追い込んでいかないといった、“ 脳内の断捨離 ” ができる人が、深刻な悩みから解放されるのです。
最後に、高齢者の介護をされている皆様、お互い無理せず頑張りましょうね。心からのエールを送って本稿を閉じようと思います。
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