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魅力ある風土と文化を未来へと繋ぐ!【文化領域編】

古き良き日本の再発見
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はじめに【変わりゆく日本の風土】

 日本各地を訪ね歩いていると、それぞれの土地には、それぞれ特有の香りがあるのを発見したりします。それはもしかしたら、いにしえよりの土や自然、気候から発せられる香りなのかもしれません。または、その地域の特産品の香りかもしれません。

 なにを言いたいかをひとまとめにして、それを風土とします。かつて日本という国は、この風土がひとや文化を育てていました。江戸時代に諸国を旅した先人たちが残した、いわゆる紀行文とやらを読むと、揃って、まるで異文化にでも出会ったかのような、驚きを持って表現をしている箇所が見当たります。

 江戸時代は幕藩体制であり、交通手段も発達していないのですから、他藩は今でいうところの外国にあたるでしょう。なので、そのことは当たり前とも言えます。では、現在はどうでしょうか。新幹線の駅舎はどこの地方都市でも似たり寄ったりです。駅前には外食チェーン店の看板がひしめいています。

 失われていく地域色に、心なしか寂しいと感じているのは、わたしだけでしょうか。
とりあえずその疑問はさておき、本題に入りたいと思います。

風土とは?

 その土地の気候・地味・地勢などのありさま。

 人間の文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境。「政治的風土」「宗教的風土」

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魅力ある風土と文化を未来へと繋ぐ!【文化領域編】

日本の文化領域について

文化領域(culture area)とは?

 文化領域とは、住民が,同系統の言語,生態学的条件(自然環境),経済,宗教などの多くを共有する場合,その地域のことをいう。

東日本と西日本

 何気なくテレビを見ていると、日本を東日本・西日本と、大きくふたつに分けて語られている番組がことのほか多いと感じます。では、その境界線はどこで引かれているのか?という点においては放送内容やテーマで異なったりします。

 さしあたり、地質学では「糸魚川静岡構造線」と呼ばれる断層を境界線とし、気象庁は福井、岐阜、愛知、三重から東を東日本。京都、滋賀、奈良、和歌山から西を西日本としています。この他にも定義づけ次第で、幾本もの線を引くことができます。

 つまり、中部、北陸地方、そして近畿地方の一部は文化領域を考える上で移行地帯とも言えます。東日本と西日本の文化が複雑に入り混じっているのです。これはあくまでわたしひとりの主観ですが、東日本、中日本、西日本と分けたほうがしっくりくるような気がします。



 生態学的解釈から言うと、東日本の落葉広葉樹林帯(ナラ林帯あるいはブナ林帯)と、西日本の照葉樹林帯という植生の相違によっても文化領域を示すこともできます。このことは、例えば東日本の人間が西日本に行く場合、またその逆もしかりで、納得されるかたも多いでしょう。

東西の他の文化領域について

北日本と南日本

 前記の東日本と西日本を分ける区画法は一般的によく知られる区画法ですが、他に日本海側の山陰中部あるいは東部の辺りから、太平洋岸の関東と東北との境界を結んで東西に走り、日本を北と南に二分する区画法もあります。

 このように、北日本と南日本を分ける文化領域は主に建築様式において多く見られます。これは現在でも雪の降る地域と降らない地域で、住宅の施工法や構造が異なっていることで一目瞭然です。

太平洋側と日本海側

 文化人類学者の杉本尚次氏は、民家における多くの構成要素を総合的に判断し、全国を十五の大地域に区分しています。

 (1)北海道、(2)東北日本太平洋側、(3)東北日本日本海側、(4)北陸、(5)中央高地、(6)南関東、(7)東海、(8)近畿中央低地、(9)瀬戸内海沿岸、(10)山陰、(11)中国山地、(12)北九州、(13)外帯山地、(14)太平洋沿岸、(15)南島

 この区分もまた生態学的要因が大きいと思われます。なぜなら気候区分とも基本的に一致しているからです。言い換えれば、太平洋側と日本海側に分ける区画法です。日本列島には山脈が背骨のように連なっています。なので、分断されていたと言えます。

気候区分とは?

 共通の気候型をもつ一続きの地域。気候帯を気温・降水量などの細かい特徴によってさらに区分したときの各地域。

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あとがき【地域色を取り戻そう!】

 昨今叫ばれ続けている問題のひとつに『地方の過疎化』があげられます。
各自治体も様々な対策を試みていますが、めぼしい成果を上げられたという事例は聞こえてきません。人口増加だけを目的とするなら企業や観光客の誘致が最善策でしょう。しかし、現在の社会情勢では手詰まり感があります。

 地方を活性化させるには “ 魅力のある地域創り ” が重要となります。
その魅力が地域色となり、やがて異彩を放つようになったとき、逆に都市部から地方への人口流入に繋がるでしょう。そのためには先ず、その土地を知ることからです。

 知るためのひとつの方法論として、今回は簡単ながらも、文化領域について書いてきました。文化領域とは定義づけ次第でどのようにでも線を引くことができます。他にも上げなかった区画法で、『海の民と山の民』や、古代史的観点から『種族群の分布』で分けるものもあります。

 戦後、国策として日本全土の森林に「スギ」や「ヒノキ」が植えられました。当時の社会情勢もあったでしょうし、これについて非難はしませんが、今後は地域の特性に応じた植林と、森林資源の活用を目指してもらいたいと願っています。

 それもまた、―――地域特有の香りとなるのですから。

 魅力ある風土と文化を未来へと繋ぐ!【自然と気候編】

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